『ビサクロン発見までの道のり』『ビサクロン発見までの道のり』

『ビサクロン発見までの道のり』

ハウス食品グループ本社 中央研究所 基盤技術開発部 恵 千晶

ビサクロンはひとりの女性研究員によって発見されました。社内外の研究者に協力をいただきながら、単離・同定に成功した恵千晶(ハウス食品グループ本社 中央研究所 基盤技術開発部)より、ビサクロン発見までの道のりについてご紹介します。

きっかけはウコンエキスのチカラを実感したこと。

ウコンを用いた製品が数多く市販されているなか、ハウス食品グループのウコンエキスを含む製品は長らくお客様に支持されてきました。私自身もそのチカラを実感して愛用し続けているうちに、そのチカラの理由はウコンエキスに違いがあるためではないかと思うようになりました。

このことを企画、開発、研究部門からなる「ウコン会議」で取り上げてもらったところ、同じことを考えていた人が多く、その効果を比較することになりました。

そこで2種類のウコンエキスを含む試験食を用いて試験した結果、含まれているクルクミン濃度は同じにもかかわらず、一方のウコンエキスにより高い血中アルコール濃度の上昇を抑制する効果があることが示唆されました。さらにウコンエキスは、クルクミノイド単独よりも肝細胞傷害を抑制する効果が高いことが確認されたことから、ウコンの未知の機能性成分を探索することが決まりました。

ハウス食品グループ本社 中央研究所 基盤技術開発部 恵 千晶

ハウス食品グループ本社 中央研究所 基盤技術開発部

恵 千晶

2002年ハウス食品入社、ソマテックセンター配属。製品開発部門を経て、2006年スパイス研究室に配属。ウコン研究の担当者となり、2009年基礎研究部、2013年基盤技術開発部を経て、現在に至る。

2年間に渡る研究で発見されたビサクロンは、
あまり注目されていない成分。

研究で最初に行ったことが評価系の確立でした。アルコールが肝細胞に直接与える影響を評価したいと考えました。しかし実験に使える状態のよい肝細胞を用意することは難しく、当初は思うような実験ができませんでした。そのため社内はもちろん、社外の多くの研究者の方々を訪問し、アドバイスをいただきながら検討を繰り返しました。このようにして実験に使える肝細胞を用意するノウハウを獲得することができ、アルコールが肝細胞に与える影響を直接評価することが可能になりました。その後、この評価方法を使ってエキス成分を細分しながら評価を繰り返し、着手から2 年間をかけて活性成分を単一成分にし、その成分が「ビサクロン」であることを明らかにしました。

この研究で発見された「ビサクロン」は、これまでウコンの成分としてあまり注目されていないもので、私たちにとってまったく予想外の成分でした。しかしビサクロンは、ウコンに含まれる量がクルクミンよりも少ないものの、クルクミンよりも低濃度で活性を示すことがわかったのです。

今後もビサクロンやクルクミンをはじめとするウコンの機能性成分について研究を進め、ウコン研究のより一層の発展に貢献していきたいと考えています。

恵 千晶研究員